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ドローンを用いて屋根を点検するメリットとデメリットを解説

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近年、建設・住宅業界では、屋根の点検にドローンが活用されているのをご存じでしょうか?
無人で点検できるので安全で効率的に作業でき、デジタル化を叶える機材として関心を集めています。

そこで本記事では、屋根のドローン点検の現状や、メリット・デメリット、屋根を点検する際の手順などをご紹介します。
中古住宅の売買仲介業や、メンテナンス業にドローンを導入したい方は、参考になさってください。

ドローンによる屋根の点検の現状

インフラや住宅の老朽化により、天井の崩落事故が相次いでいます。
このような事故を防ぐには、定期的な点検と修繕が欠かせません。
ドローンであれば足場を組まなくても、地上から高い場所の点検を安全に行うことができます。

また少子化による深刻な人手不足への対策としても、ドローンが注目されています。
ドローンを遠隔操作すれば、1か所の現場に多くの技術者を派遣する必要がありません。
そのため、1日に点検できる建物の数が増え、効率的に作業を進められるのです。

なお従来は、人口密集地や夜間での飛行を行う際には、国土交通省からの許可を取らなければならない旨が航空法で定められていました。
しかし2021年9月24日の改正により、以下のように一部の規制が緩和されました。

十分な強度を有する紐等(30m以下)でドローンを係留し、かつ、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じる場合については、許可・承認を不要とする。

引用元:ドローン飛行に関する規制改革について

このようにドローンに関する一部の規制が緩和された現状を踏まえると、建築・住宅業界でのドローンの導入はますます進むことが予想されます。

ドローンで屋根を点検するメリット

ここからは、屋根の点検にドローンを導入すると得られるメリットを紹介します。
ドローンを用いた屋根点検をお考えの方は、参考にしてみてください。

メリット①作業員の安全を確保できる

たとえ高所の点検作業に慣れているベテランの作業員であっても、劣化したはしごや足場を使っていたり、風にあおられて足元が揺れたりすれば、転落するリスクをともないます。
作業員の負傷は人手不足の現場にとって痛手になるだけではなく、会社の安全管理体制を疑われる懸念もあります。
ドローンであれば、危険な作業も地上から遠隔操作できるため、作業員の安全を確保したうえで業務の遂行が可能です。

メリット②作業時間を短縮できる

従来の方法で屋根を点検すると、1軒あたり50分~1時間ほどかかります。
もし足場を組むとなれば、1日がかりの作業です。
しかし、ドローンで屋根の点検を行えば、15~20分ほどで作業が完了します。

特に無料点検を行っている企業にとっては、短時間で屋根の点検を終了することができるという点は、大きなメリットになります。
作業時間が短くなれば、1日に何軒も回って点検作業を行うこともでき、作業の効率化につながるためです。

メリット③点検作業の精度が上がる

ドローンに搭載されたカメラは、高画質に撮影できるよう年々進化しており、肉眼で確認した場合と変わらない性能を持つものもあります。
ドローンを導入すれば点検作業の精度が上がり、仕事の完成度を高めることができます。

また、SoftBankの『SoraSolution』をはじめとする管理・分析ツールを導入することで、撮影した映像や必要な情報を組み合わせ、レポートを簡単に出力することも可能です。

メリット④屋根を破損させるリスクを減らせる

作業員が屋根を点検する際は、屋根の上に上って目視で確認します。
このとき、上からの重みで屋根の瓦が落ちたり、破損したりする危険性があります。

ドローンで点検すれば、実際に屋根を上る必要がなくなるので、このようなリスクを避けられます。

メリット⑤コストが抑えられる

ドローンを導入すれば、現場に派遣する作業員の人数を最小限に抑えられます。
操縦できるオペレーターと、補助者の作業員がいれば十分です。

また近年は、高所で作業できる人員が少ないため、そのぶん高額な人件費がかかります。
特に若年層は、高所での作業がある仕事を避ける傾向があるので、ますます労働人口が減り、1人を雇うための人件費も高くなる可能性があります。
今からドローンの導入を検討しておくことは、コストの削減や人員確保のためにも欠かせない要素になるでしょう。

ドローンで屋根を点検するデメリット

屋根の点検にドローンを導入するメリットを押さえたら、今度はデメリットも確認しておきましょう。

デメリット①近隣トラブルにつながる

ドローンが飛行している際のプロペラやモーターの音が、騒音トラブルを招く場合もあります。
メーカーにもよりますが、ドローンが出す音は80デシベルほどと言われており、電車内の騒音レベルに相当します。

また、ドローンは普及して間もないという事情もあり、近所を飛行している様子を見た住人から不審に思われ、通報される可能性もないとは言い切れません。
ドローンで屋根を点検する際は、近隣住人や近くの学校、所轄警察署などにあらかじめ告知しておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。

デメリット②天候に左右される

雨や雪の日はドローンの飛行を行うことができないため、天候によっては点検を延期せざるを得ないこともあります。
点検作業に使うドローンにはIP6以上の防水機能が備わっていますが、雨天時はレンズに水滴がつきやすく、また赤外線のノイズが生まれるため、点検は難しいでしょう。

また国土交通省では、地上から1.5メートルほどの高さを、風速が5メートルある状況で飛行することを禁止しています。
つまり、それほど風が強くない日でも飛行を中止しなければならないので、予定通りに点検を進められずスケジュールに支障が出るといったデメリットにつながってしまうわけです。

デメリット③法律による飛行の規制がある

ドローンを以下の場所で飛行させる際は、国土交通省に申請して許可を取らなければなりません。

国土交通省の許可が必要な領域

・空港の周辺
・人口集中地区の上空
・150メートル以上の上空
・緊急用務空域など

上記にくわえて、夜間飛行や目視外飛行、人や物体との距離が30メートル以内での飛行なども、航空法により申請を義務づけられています。
申請は飛行の10日前に行わなければならず、急な点検にドローンを使えない場面もあります。

ドローンで屋根を点検する際の流れ

ここからは、屋根をドローンで点検する際の手順を紹介します。

手順①飛行禁止空域ではないか確認する

まずは、点検する場所がドローンの飛行禁止空域にあたらないかどうかを確認する必要があります。
また、「人と物体との距離が30メートル以内での飛行」や「目視外飛行」などに該当する場合は、空域に関わらず飛行承認申請が必要です。

屋根の点検中に、ドローンのカメラに映った映像をモニターやタブレット端末で確認しながら行う場合は、目視外飛行に該当します。
また、ドローンは屋根に接近させて点検するため、30メートル以内を飛行するという点でも、申請が必要になります。

なお、業務目的の飛行かつ一定の条件を満たしていれば、「包括申請」とよばれる申請が可能です。
包括申請を行えば、飛行のたびに都度申請を行う必要がないため、事務手続きの手間を削減することができます。

手順②飛行許可・承認手続きを行う

許可が必要な空域を飛ぶ場合や、夜間飛行、近距離での飛行を行う際は、国土交通省のオンラインサービス『ドローン情報基盤システム』から申請作業を行います。

審査に時間がかかるため、少なくとも10開庁日以上前には申請しましょう。
申請内容に不備がある場合はさらに時間がかかるので、余裕をもって3~4週間前には申請するのが理想的です。

手順③点検に必要な機材を準備する

点検場所を確認し、申請を済ませたら、以下の機材を準備します。

ドローンによる屋根の点検に必要な機材

・ドローン
・交換用のバッテリー
・風速計
・作業用ヘルメット
・三角コーン・コーンバー
・飛行計画書
・飛行許可書

ドローンのモーターやプロペラが正常に動くか事前に確認し、内蔵されているバッテリーと交換用のバッテリーをフル充電しておきます。

また、風速計も屋根の点検には欠かせません。
体感では風が弱くても、意外と風速が強い場合は往々にしてあるので、忘れずに現場に持っていきましょう。

三角コーンとコーンバーは、第三者の立入を禁止するために必要です。
ドローンを操縦する際は、第三者の立入は禁止しなければなりません。

最後の飛行計画書と許可書は、点検の依頼主や近隣住人、警察官へ見せるための文書です。
不審に思われて通報されたときに備えて、準備しておくと安心です。

手順④屋根を点検する

点検当日を迎えたら、以下の3つの点に注意して作業を進めます。

テレビのアンテナに注意する

テレビ用のアンテナが屋根に固定されていると、ワイヤーがドローンのプロペラに巻き込まれやすくなります。
目視で確認しつつ、慎重にドローンを操縦しましょう。

屋根に対して45°の角度を意識する

屋根の状態を正確に把握するには、屋根に対して45°の位置から撮影することを意識しましょう。
この角度を維持することで、光の反射やドローン本体の影が映り込まず、屋根の状態をしっかりと確認することができます。

動画の場合は動かすスピード一定に保つ

動画で屋根を撮影する場合は、ドローンが動くスピードを一定に保ちましょう。
動きが一定でなければ、損傷個所を見逃してしまうおそれがあるためです。

手順⑤データが取れたかチェックして結果を報告する

点検が無事に終わったら、撮影したデータが保存されているか、また鮮明な画像で必要な箇所を記録できているかを確認します。
なお、寄りの写真の場合は、屋根のどの箇所なのかがわからなくなってしまうことのないように、撮影した順番のとおりに番号を振りましょう。

必要事項の確認が済んだのち、報告書に撮影日と時間を記載すれば、一連の作業は終了です。

屋根のドローン点検はプロに頼むべきか?

ドローンの基本的な操縦は比較的に容易ですが、点検業務となるとより高い操縦スキルが必要です。
また、飛行における安全対策や周囲の方々への配慮、適切かつ必要なポイントの撮影など、プロにしかできない事柄が多々あります。
安全かつ確実な点検業務をご希望なのであれば、プロに依頼するというのも選択肢の一つです。

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屋根の点検にはドローンを活用してコストの削減や人手不足の解消に役立てよう

本記事では、ドローンによる屋根の点検の現状や、メリット・デメリット、屋根を点検する際の手順を紹介しました。
住宅や建物の老朽化が進んでいるため、ドローンによる点検作業の需要はますます高まると予想されます。

ドローンを導入すれば得られるメリットは多くありますが、法の規制が厳しく、操縦も簡単ではないので、すぐに導入するのは難しいかもしれません。
ドローンの操縦をプロに委託することも、検討してみてはいかがでしょうか。

Y’s Airでは、空撮用ドローンを使ったサービスを展開しております。
お見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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