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ドローンで土地を測量する場合の価格相場はどのくらい?

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土地の測量調査といえば、現場に機器を設置して直接測定する方法が長らく使われていましたが、近年ではドローンを活用した測量も行われています。
ドローンによる測量でかかる費用は一般的にはおよそ100万円からですが、測量の方法によっては300万円~掛かるケースもあり、価格の相場感を掴めない方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、ドローン測量の概要を解説するとともに、価格相場をご紹介いたします。
「土地測量を効率よく進めたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

【基礎知識】ドローン測量とは

ドローンを飛ばして測量現場を上空から撮影し、地形情報を解析・調査する計測技術を「ドローン測量」といいます。

従来までは、作業員がTS(トータルステーション)を活用して地上で測量する地上測量や、小型航空機を用いて上空から測量する航空測量が主流でした。
しかしこれらの方法は、作業の工数や、多額のコストがかかることなどが課題とされていました。

ドローン測量は、これらの課題点を解決したうえで測量を実施することができる方法です。
地上にいながら広範囲を測量できる手軽さと、従来の手法と比較した際のコストの安さを兼ね揃えているので、今後もさらなる需要の拡大が予測されます。

【関連記事】
ドローンの活用事例とは?撮影をプロに頼むメリットや費用の相場も紹介

ドローン測量の種類

ドローン測量の方法は、大きく「写真測量」「レーザー測量」の2種類に分かれます。
それぞれの特徴をまとめました。

【種類別】ドローン測量の特徴

測量方法 特徴 備考
写真測量 カメラを搭載したドローンで、現場を上空から撮影する測量方法。複数枚の写真をつなぎ合わせて、地形情報を調査する レーザー測量と比較すると、低コストかつ、対応できる業者の数も多い。ただし、地表が撮影できなければ測量が難しいので、木々が密集している環境には不向き
レーザー測量 レーザー装置を搭載したドローンを使う測量方法。現場上空から、地上にレーザーを照射し、その反射で距離情報を取得する 精度の高いデータを得ることができる。しかし、レーザー装置が高額なので、コストが高く、対応できる業者も限られる

ドローン測量が注目されるようになった背景

近年、ドローン測量が注目されるようになった背景には、国土交通省が2015年に発表した『i-Construction(アイ・コンストラクション)』という施策が関連します。

これは、従来のアナログ業務からの脱却を目指す取り組みで、簡単にいうと「ICT(情報通信技術)を導入して、建築業界や土木業界の生産性を向上させる」というものです。
IT機器やデジタルデータの導入だけでなく、ドローンによる測量もICTに含まれます。

ドローン測量の具体的なメリットは後述しますが、i-Constructionの一環としてドローン測量を行うことで、建築業界や土木業界が抱えていた課題を解決に導くことができます。
そのため、i-Constructionの発表以来、ドローン測量が注目を浴びているのです。

機能性や汎用性の高さを活かし、今後は建築業界や土木業界のみならず、さまざまな分野でドローンが活躍することが予測できます。

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ドローンを用いて屋根を点検するメリットとデメリットを解説

ドローン測量の価格相場

ここからは、ドローン測量の価格相場を、専門業者に依頼する場合と自社で実施する場合に分けてご紹介いたします。

専門業者に依頼する場合

ドローン測量会社に作業を依頼した際の相場は、写真測量では100万円~、レーザー測量では300万円~です。

これは、ドローンの操作やシステムの設定、画像の解析まで一通り依頼した場合の費用感です。

ただし、測量現場の土地面積が広い場合や、数日かけて調査をする場合には、さらに費用は高くつきます。

自社で実施する場合

人材リソースならびに十分な予算を確保できるのであれば、ドローン測量は自社でも対応することができます。
ドローン本体やカメラ、3Dモデルや断面図の生成ソフトのほか、レーザー測量を実施するのであれば、レーザー機器も準備しましょう。
なお、ドローンや測量システムの操作には、技術と知識が求められるので、完全なる内製化を目指すのであれば、技術者を育成するための費用もかかります。

これらを合計すると、写真測量では最低でも300万円~、レーザー測量では1,000万円~の費用が必要になります。

価格だけみると内製のほうが高額ですが、この金額は内製でドローン測量を始めるにあたり、必要な導入費用です。
そのため専門業者への依頼と異なり、測量を行うたびに前述の費用が発生するわけではありません。

頻繁にドローン測量を内製で実施するのであれば、一回あたりのコストは割安となっていくでしょう。

ただし、この金額はあくまでも目安なので、ドローン本体やカメラのグレードなどによって金額が前後することは覚えておいてください。

自社でドローン測量を実施する場合の費用の内訳

前項でお伝えしたように、ドローン測量には多額のコストがかかるため「なぜこんなに高いのだろう」「具体的な内訳が気になる」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
自社でドローン測量を実施する場合に発生する費用の内訳を、項目別に解説します。

項目①機材費

ドローン本体やカメラなどの機材一式の購入には、小型機であれば30万~40万円程度、中型機や大型機であれば100万円以上はかかると考えましょう。
機材の性能が高いほど、価格も高くなります。

なお、レーザー測量の場合には、高価なレーザー発振器を搭載しなければならず、機材費だけで1,000万円以上かかることもあります。

項目②人件費

ドローン測量を実施する際には、ドローン操縦士だけでなく、安全監視員や補助員などの人件費も発生します。
測量の規模や人員数などの要因で費用は変動しますが、最低でも20万円ほどの人件費が必要です。

また、ドローンの操作方法や資格を取得するために、従業員がスクールへ通う場合には、別途で受講費もかかります。

項目③画像解析ソフトの費用

ドローン測量で取得したデータから3Dモデルや断面図を作成するには、専用のソフトが必要です。
ソフトの価格相場は10万~40万円程度ですが、近年では10万円以下で購入できる製品や、月額料金で利用できるクラウド版ソフトも登場しています。
ソフトが高性能であるほど、価格も高くなるので、測量の規模や利用頻度に合ったものを選びましょう。

項目④その他の費用

上記以外にも、ドローン測量を内製で実施するにはさまざまな費用がかかります。
測量現場までの交通費や、ドローンの飛行許可を得るための調整費用、保険料も発生します。

ドローン測量で取得することができるデータ

ドローン測量で取得することができるデータは「3次元点群データ」「オルソ画像」の2種類です。
以下で、それぞれの具体的な内容をご紹介いたします。

3次元点群データ

土地のX・Y・Z軸のデータ、つまり3次元のデータを「3次元点群データ」といいます。

ドローン測量では、まず気圧計などから高度データを、人工衛星から位置情報データを取得します。
これらを、光学カメラやレーザー機器から得られるデータと組み合わせることで、正確な位置情報を点群として表現することができるのです。

この点群を、専用ソフトを使って解析すると、点同士の距離の計測だけでなく、図面や3Dモデルを作成することができます。

オルソ画像

ドローンによる空中からの撮影では、写真にゆがみやズレが生じます。
複数枚の写真を組み合わせてこれらを補正し、正確な位置関係や大きさを表現した画像が「オルソ画像」です。
精度の高い地形情報を得ることができるほか、簡単に地図データとも組み合わせることができます。

ドローン測量を実施するメリット

ここからは、ドローン測量の主なメリットをご紹介します。

メリット①安全性が高い

ドローン測量は、高低差のある場所や災害現場など、人の立ち入りが難しい場所でも撮影することができます。
転落事故や水難事故につながる可能性がある現場でも、測量作業を安全に進めることができるのは、ドローン測量の大きなメリットです。

メリット②簡単にデータを入手できる

ドローン測量では、比較的簡単にデータを取得することができます。

従来の測量方法では、TSやGNSS(衛星測位システム)で取得した情報をデータ化する作業が必要であるため、時間や手間がかかっていました。
しかし、データを直接入手できるドローン測量では、この工数が発生しないので、スピーディに作業を進めることができます。

工数を減らすことにより、現場の生産性や業務効率を高めることができるのは、ドローン測量ならではの特徴です。

メリット③時間とコストを抑えられる

ドローン測量では、大がかりな機材の搬入やセッティングが不要であり、なおかつ広範囲を素早く撮影することができます。
そのため、地上測量では3日ほどかかる現場でも、ドローン測量であれば数時間で完了します。

また、従来の測量方法と異なり、少ない人員で対応することができるので、人件費をはじめとしたコストの削減にも効果的です。

メリット④工事を止める必要がない

地上測量と異なり、ドローン測量では現場に機材が残っていても、そのまま測量を行うことができます。
現場の作業員の手を止めずに工事を進めることができるので、業務効率にも影響を与えません。

また、測量時には監視員や補助員もおり、安全性には最大限の配慮がなされています。

ドローン測量のデメリット

ドローン測量にはさまざまなメリットがあるものの、一方で注意点もいくつか存在します。
実施にあたり覚えておきたいデメリットを挙げるので、メリットとあわせて確認しましょう。

デメリット①写真測量だけでは対応できないことがある

ドローンでは、広範囲の地面が隠れていると写真測量を実施できないことがあります。
そのため、現場に樹木などが生い茂っており、地面のほとんどが隠れてしまっている場合には、地上測量やレーザー測量などを検討しなければなりません。

ただし、レーザー測量は写真測量と比較すると、コストが高くつくので、予算を超えてしまうことも起こりえます。
このような事態を防ぐためにも、現地の事前調査と、最適な測量方法の模索は必須です。

デメリット②広すぎる範囲の測量には向かない

ドローン測量は、広範囲を速やかに測量できる側面があるものの、測量対象が広すぎると、かえって作業に時間がかかる可能性があります。
なぜなら、ドローンはバッテリーで動いており、稼働時間には限界があるためです。

機器ごとに多少の差はありますが、ドローンに搭載されているバッテリーの稼働時間の目安は20~30分程度です。
大規模な測量が必要な場合には、離着陸を繰り返して何度もバッテリーを交換しなければならないため、かえって時間や工数がかかります。

広範囲の現場を測量するのであれば、ドローン測量だけではなく、地上測量や航空測量も視野に入れたいところです。

デメリット③ドローンが飛ばせない場所では測量ができない

飛行許可がおりない場所では、ドローン測量を実施することができません。
たとえば、国会議事堂や最高裁判所、原子力発電所などの重要施設周辺は、テロ対策および安全対策のためにドローンの飛行が禁じられています。

また、空港の近くや人口密集地域でドローンを飛行させるには申請が必要です。
ドローンの飛行が禁止されているエリアは、国土地理院地図で確認することができるので、測量現場が含まれているかどうかを確認しましょう。

ドローン測量会社を選ぶ際に押さえておくこと

「ドローンの操作や知識に不安がある」「高頻度での測量は実施しない」ということであれば、土地の測量は専門業者に依頼することが望ましいです。
しかし、ドローン測量の需要の増加にともない、業者の数も増えてきたので、「どこに依頼すればよいのだろう」と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。

ここからは、ドローン測量会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

ポイント①価格の設定が適切であるかを確認する

ドローン測量の設定価格や技術、サポート体制の内容などは、業者ごとに異なります。
「ほかの業者に依頼すればよかった」と後悔しないように、業者を選ぶ際は、設定価格と、サービスの内容や品質が釣り合っているかを確認しましょう。

以下のことを確認しておけば、トラブルが発生するリスクを抑えることができます。

ドローン測量会社を選ぶ際に確認しておくこと

・測量に使用するドローン本体やカメラの性能
・技術者の経験や保有している資格
・納品データの品質
・測量作業に必要とされる日数
・保険の有無ならびに内容

上記以外にも、わからない部分があれば都度質問をして、疑問点を解消しましょう。

ポイント②見積もりの内訳を確認する

ドローン測量は利便性に優れる反面、まだ歴史が浅いため、業界内で価格相場が定まりきっていません。
ほぼ同額での設定価格でも、業者によってサービスの品質や、使用する機材に大きな差があるのが現状です。

提示された見積額だけでなく、「なぜこの項目は、これだけの費用がかかるのか」という理由まで確認して、妥当性があるかどうかを判断しましょう。

ポイント③複数の業者を比較検討する

上記でもお伝えしたように、ドローン測量会社ごとに、対応できる範囲や価格設定、ドローンの操作技術などは異なります。
「費用が安いから」「測量現場の近くに事業所があるから」という理由だけで業者を選ぶと、依頼後に思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

自社に合った業者を見つけるためにも、ドローン測量の外注時には、複数の業者に問い合わせて条件を比較検討しましょう。
そのうえで、希望する条件に合った提案をしてくれる業者を選べば、安全かつスムーズに測量作業を進められます。

ドローン測量の設定価格は幅広く最低でも100万以上に設定されている

いかがでしたでしょうか。

ドローンを用いた写真測量の費用の目安は、専門業者に依頼する場合では最低でも100万円~です。
ドローン測量は専門性が高い作業なので、内製化を実現するには、膨大な時間と多額のコストがかかります。
機器の操作技術や知識に不安をお持ちであれば、専門業者への依頼がおすすめです。

Y’s Airでは、ドローン測量サービスを提供しております。
測量作業を安全かつスピーディに実施したいとお考えのご担当者様は、お気軽にご相談ください。

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